かぐやから見た月
月周回衛星「かぐや」は、高度約100kmで月の北極と南極の上を回りました。その位置に立って、ハイビジョンカメラが撮影した「地球の出」を、実際の月面の地形と撮影時刻の太陽の向きで再現します。後半では、同じ輪を回るだけで月の全面を撮影できた仕組みを地球儀で確かめます。
地球の出を再現する
EARTHRISEJAXAが公表した撮影時刻のかぐやの位置から、カメラの向きに見える景色を計算しています。月面の起伏と影も、その時刻の太陽の向きで計算しました。「再生」を押すと実際の速さで進みます(地球が昇りきるまで約1分)。
—
同じ輪を回って、月の全面を撮る
POLAR ORBIT赤い輪がかぐやの軌道です。軌道の向きは星に対してほぼ固定されていて、その内側で月がゆっくり自転します。かぐやが1周(約1時間58分)するあいだに月は約1.1°回り、赤道で約33kmずれます。地形カメラの撮影幅は約35kmなので、日の当たる側を撮った帯がすき間なく並び、約1か月で月のほぼ全面がそろいます。明るく見える部分が撮影済み、暗い灰色がまだ撮っていない部分です。
ただし、軌道の向きは1年を通して変わらないので、太陽との位置関係は季節で変わります。太陽が軌道面の真横に来る時期(2007年12月〜2008年1月など)は、かぐやは昼と夜の境目の上ばかりを通るため、1か月たっても日の当たる地面を半分ほどしか撮れません。「時期」を切り替えて比べてみてください。
この再現について
METHOD軌道の向きは撮影記録から
JAXAが公表した「地球の入り」(2007年11月7日 12時07分、南極付近)の時刻から、かぐやの軌道面の向きと位置を求めました。同じ軌道で計算した次の「地球の出」は14時52分10秒で、公表された14時52分と合います。
5か月後の満地球の出も一致
軌道面が星に対して動かないとして、2008年4月6日 6時44分の「満地球の出」を計算すると、地平線の場所は南緯85.5度・東経181度でした。JAXAが公表した撮影範囲(南緯82〜86度、東経134〜209度)に入ります。
月面と影
月面の色と高さは、NASAの月探査機LRO(ルナー・リコネサンス・オービター)の観測をもとにしたNASAの公開データです。極付近では太陽の高さが1〜2度しかないため、撮影時刻の太陽の向きから山やクレーターの長い影を計算しています。
地球の描き方
地球の位置と自転、太陽の向きは天文計算ライブラリで求め、陸地の形を描いています。雲は描いていません。満地球の出の日は新月で、月から見た地球はほぼ全体が光っていました。
1か月の撮影の計算
地形カメラの撮影幅を35km、撮影できるのは月面に日が当たっている場所だけとして、撮った範囲を塗っています。太陽が軌道面の近くにある2008年3〜4月は28日でほぼ全面、真横にある2007年12月〜は約半分になります。実際の撮影計画や、太陽が低いときの写りの良し悪しは考えていません。
出典
SOURCES- Image Taking of Earth-Rise by HDTV(JAXA、2007年11月13日)地球の出・入りの撮影時刻と場所、カメラの視野
- Full Earth-Rise by HDTV(JAXA、2008年4月11日)満地球の出の撮影時刻と範囲
- LOI 5 and 6 results(JAXA、2007年10月19日)観測軌道の高さと周期
- JAXA、かぐやの地形カメラの映像を公開(AV Watch、2007年11月29日)地形カメラの撮影幅35km
- SELENE(Wikipedia)定常観測の開始、落下地点
- CGI Moon Kit(NASA's Scientific Visualization Studio)月面の色(LROC)と高さ(LOLA)のデータ
- Natural Earth地球の陸地の形(world-atlas 経由)
- Astronomy Engine月・太陽の位置、月の自転、地球の自転の計算