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KAGUYA (SELENE)

月周回衛星「かぐや」の旅路

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2007年に打ち上げられた「かぐや」は、アポロ計画のあと最大級の月探査機です。地球のまわりを2周して月との待ち合わせ時刻を合わせ、月の北極と南極の上を通る高度約100kmの軌道に入りました。子衛星「おきな」「おうな」を加えた3機の編成で、月の裏側の重力を初めて直接測り、ハイビジョンカメラで「地球の出」を撮影しました。

打ち上げ 2007-09-14 10:31 JST ロケット H-IIA 13号機 質量 約3,000 kg

地球から月へ

TRANSFER ORBIT

地球を中心に、北側から見下ろした図です。赤い線がかぐやの航路、点線が月の通り道です。月はかぐやが地球を2周するあいだに大きく動きます。かぐやは近地点で2回加速して周期を合わせ、月がちょうど来る場所と時刻に遠地点が重なるようにしました。

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かぐやの航路月の通り道
位置は計算による再現(公表値に合わせて計算)
計算の確かめ: 地球の出の撮影記録から求めた月周回軌道の向きを出発点に、月から地球へ逆向きに航路を計算しました。2回目の周期調整(9月29日)のあとの遠地点の高さは、計算で378,105km、JAXA の公表値は378,132kmで、差は約30kmでした。各区間の周期と近地点・遠地点の高さも、公表値とおおむね合っています。

月をまわる3機

LUNAR ORBIT

月を中心に、かぐやの軌道面を真横から見た図です(上が月の北極)。月に着いたかぐやは、6回の噴射で軌道を少しずつ小さくしながら、途中で子衛星「おきな」と「おうな」を切り離しました。切り離した直後の子衛星は、かぐやと同じ軌道を並んで回ります。次にかぐやだけが噴射して軌道を下げたとき、2機は別々の軌道に分かれます。到着したころ、地球は図の面のほぼ真正面(または真後ろ)の方向にあり、かぐやが月の陰に隠れることはありませんでした。

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かぐやおきな(中継衛星)おうな(電波源衛星)
位置は計算による再現
月の裏側にいるかぐやとは、地球から直接電波が届きません。そこで、高い軌道を回る「おきな」が電波を中継し、かぐやの速さのわずかな変化から裏側の重力の様子を測りました。「3機の連携」を選ぶと、地球が軌道面のほぼ真横にあった11月7日の様子を再生できます。この日にかぐやが撮影した「地球の出」はかぐやから見た月で再現しています。

かぐやの旅

TIMELINE
  1. 打ち上げ

    種子島宇宙センターから、H-IIAロケット13号機で打ち上げられました。約46分後にロケットから分離し、遠地点が約23万kmの細長い軌道に入りました。

  2. 周期を合わせる噴射

    地球に最も近づいたところで2回噴射し、周期と遠地点の高さを調整しました。遠地点は約38万km、周期は約10日になりました。

  3. 月周回軌道に入る

    月に最も近づいたところで減速し、月を回る軌道(高度101km〜11,741km、周期16時間42分)に入りました。

  4. 子衛星を分離

    9日に中継衛星「おきな」(高度100km〜2,400kmの軌道)、12日に電波源衛星「おうな」(高度100km〜800kmの軌道)を切り離しました。

  5. 観測軌道に到着

    月周回投入から合わせて6回の噴射で、高度約100kmの円に近い極軌道に入りました。周期は約2時間です。12月21日から定常観測を始めました。

  6. 「地球の出」をハイビジョンで撮影

    月の北極付近の上空から、月の地平線に地球が昇る様子を撮影しました。同じ日、南極付近では「地球の入り」も撮影しています。

  7. 「満地球の出」を撮影

    新月のころで、月から見た地球は全体が光る「満地球」でした。月の裏側の南極付近の地平線から、青い地球が昇る様子を撮影しました。

  8. 定常運用を終え、後期運用へ

    予定していた観測をすべて終え、延長した運用に入りました。

  9. 高度を約50kmに下げる

    姿勢を制御する装置の一部が劣化したため、計画を変更して軌道を下げ、より近くから観測しました。

  10. おきなが月面に落下

    中継衛星「おきな」は、月の裏側のミナー(Mineur)Dクレーター付近に落下しました。

  11. かぐやを月面に落として運用終了

    計画どおり、南緯65.5度・東経80.4度のギル(Gill)クレーター付近に落下させ、打ち上げから約1年9か月の運用を終えました。

かぐやが実現したこと

ACHIEVEMENTS
01

月の裏側の重力を直接測る

裏側を回るかぐやの電波を「おきな」が中継し、速さのわずかな変化を地球で測りました。裏側の重力をこの方法で直接測ったのは、かぐやが初めてです。

02

月全体の高さの地図

レーザー高度計で月の全面の高さを測り、極域を含む詳しい地形図を作りました。地形カメラは1画素10mの解像度で月面を撮影しました。

03

ハイビジョンで見た月

NHKが開発したハイビジョンカメラで、月面や「地球の出」を撮影しました。約1年7か月で撮った動画と静止画は1.3テラバイトを超えます。

かぐやの位置から見た「地球の出」と、極軌道で月の全面を撮る仕組みはかぐやから見た月で紹介しています。2024年に日本で初めて月面に着陸した小型月着陸実証機SLIMの旅路もあわせてご覧ください。

諸元

SPECIFICATIONS
名称
月周回衛星「かぐや」 SELENE(SELenological and ENgineering Explorer)
打ち上げ
2007年9月14日 10時31分01秒(日本時間) 種子島宇宙センター、H-IIAロケット13号機
質量
約3,020kg 主衛星 約2,914kg、子衛星「おきな」「おうな」各約53kg
主衛星の大きさ
2.1m × 2.1m × 4.8m 子衛星は1.0m × 1.0m × 0.65m
観測軌道
高度約100kmの円軌道・極軌道 周期 約2時間
ハイビジョンカメラ
広角と望遠の2台 1920×1080画素、NHKが開発

出典

SOURCES

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