月周回衛星「かぐや」の旅路
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2007年に打ち上げられた「かぐや」は、アポロ計画のあと最大級の月探査機です。地球のまわりを2周して月との待ち合わせ時刻を合わせ、月の北極と南極の上を通る高度約100kmの軌道に入りました。子衛星「おきな」「おうな」を加えた3機の編成で、月の裏側の重力を初めて直接測り、ハイビジョンカメラで「地球の出」を撮影しました。
地球から月へ
TRANSFER ORBIT地球を中心に、北側から見下ろした図です。赤い線がかぐやの航路、点線が月の通り道です。月はかぐやが地球を2周するあいだに大きく動きます。かぐやは近地点で2回加速して周期を合わせ、月がちょうど来る場所と時刻に遠地点が重なるようにしました。
月をまわる3機
LUNAR ORBIT月を中心に、かぐやの軌道面を真横から見た図です(上が月の北極)。月に着いたかぐやは、6回の噴射で軌道を少しずつ小さくしながら、途中で子衛星「おきな」と「おうな」を切り離しました。切り離した直後の子衛星は、かぐやと同じ軌道を並んで回ります。次にかぐやだけが噴射して軌道を下げたとき、2機は別々の軌道に分かれます。到着したころ、地球は図の面のほぼ真正面(または真後ろ)の方向にあり、かぐやが月の陰に隠れることはありませんでした。
かぐやの旅
TIMELINE打ち上げ
種子島宇宙センターから、H-IIAロケット13号機で打ち上げられました。約46分後にロケットから分離し、遠地点が約23万kmの細長い軌道に入りました。
周期を合わせる噴射
地球に最も近づいたところで2回噴射し、周期と遠地点の高さを調整しました。遠地点は約38万km、周期は約10日になりました。
月周回軌道に入る
月に最も近づいたところで減速し、月を回る軌道(高度101km〜11,741km、周期16時間42分)に入りました。
子衛星を分離
9日に中継衛星「おきな」(高度100km〜2,400kmの軌道)、12日に電波源衛星「おうな」(高度100km〜800kmの軌道)を切り離しました。
観測軌道に到着
月周回投入から合わせて6回の噴射で、高度約100kmの円に近い極軌道に入りました。周期は約2時間です。12月21日から定常観測を始めました。
「地球の出」をハイビジョンで撮影
月の北極付近の上空から、月の地平線に地球が昇る様子を撮影しました。同じ日、南極付近では「地球の入り」も撮影しています。
「満地球の出」を撮影
新月のころで、月から見た地球は全体が光る「満地球」でした。月の裏側の南極付近の地平線から、青い地球が昇る様子を撮影しました。
定常運用を終え、後期運用へ
予定していた観測をすべて終え、延長した運用に入りました。
高度を約50kmに下げる
姿勢を制御する装置の一部が劣化したため、計画を変更して軌道を下げ、より近くから観測しました。
おきなが月面に落下
中継衛星「おきな」は、月の裏側のミナー(Mineur)Dクレーター付近に落下しました。
かぐやを月面に落として運用終了
計画どおり、南緯65.5度・東経80.4度のギル(Gill)クレーター付近に落下させ、打ち上げから約1年9か月の運用を終えました。
かぐやが実現したこと
ACHIEVEMENTS月の裏側の重力を直接測る
裏側を回るかぐやの電波を「おきな」が中継し、速さのわずかな変化を地球で測りました。裏側の重力をこの方法で直接測ったのは、かぐやが初めてです。
月全体の高さの地図
レーザー高度計で月の全面の高さを測り、極域を含む詳しい地形図を作りました。地形カメラは1画素10mの解像度で月面を撮影しました。
ハイビジョンで見た月
NHKが開発したハイビジョンカメラで、月面や「地球の出」を撮影しました。約1年7か月で撮った動画と静止画は1.3テラバイトを超えます。
諸元
SPECIFICATIONS- 名称
- 月周回衛星「かぐや」 SELENE(SELenological and ENgineering Explorer)
- 打ち上げ
- 2007年9月14日 10時31分01秒(日本時間) 種子島宇宙センター、H-IIAロケット13号機
- 質量
- 約3,020kg 主衛星 約2,914kg、子衛星「おきな」「おうな」各約53kg
- 主衛星の大きさ
- 2.1m × 2.1m × 4.8m 子衛星は1.0m × 1.0m × 0.65m
- 観測軌道
- 高度約100kmの円軌道・極軌道 周期 約2時間
- ハイビジョンカメラ
- 広角と望遠の2台 1920×1080画素、NHKが開発
出典
SOURCES- Launch of KAGUYA / H-IIA Launch Vehicle No. 13 トピックス(JAXA)打ち上げ、各噴射の日時と結果の軌道
- KAGUYA Lunar Orbit Injection(JAXA、2007年10月5日)月周回投入の時刻と軌道
- LOI 5 and 6 results(JAXA、2007年10月19日)観測軌道の高さと周期
- Image Taking of Earth-Rise by HDTV(JAXA、2007年11月13日)地球の出・入りの撮影時刻、カメラの仕様
- Full Earth-Rise by HDTV(JAXA、2008年4月11日)満地球の出の撮影時刻と場所
- KAGUYA Impact onto the Moon(JAXA、2009年6月11日)落下の時刻と場所
- SELENE "KAGUYA" Attitude and Orbit Control System and Its Flight Results(宇宙技術、2009年)観測軌道への到着日
- SELENE(Wikipedia)質量・大きさ、子衛星の軌道、後期運用、おきなの落下、成果
- Astronomy Engine月・太陽の位置、月の自転の計算