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HAYABUSA · MUSES-C

小惑星探査機「はやぶさ」の旅路

2003年に打ち上げられた「はやぶさ」は、イオンエンジンで小惑星イトカワへ向かい、着陸して表面の試料を採りました。その直後に燃料漏れと通信途絶に見舞われ、地球への帰還は3年延びます。エンジンの故障も重なるなか、2010年6月、試料の入ったカプセルを地球に届けました。その7年をたどります。

打ち上げ 2003-05-09 13:29 JST ロケット M-V 5号機 質量 約510 kg

イトカワへの往復

ORBIT

太陽を上から見た図です。赤い線がはやぶさの航路、点線が地球とイトカワの軌道です。右の出来事を押すと、その日付に移動します。

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はやぶさの航路
位置は概算 · 打ち上げ後1年間(地球軌道の近く)は含まない

イトカワの形

SHAPE

長さ約535mの小さな小惑星です。大きな「胴体」と小さな「頭」がくびれでつながったような形で、その姿がラッコに似ていると話題になりました。ドラッグで回して見られます。

NASA 3D Resourcesの立体モデルをもとに作成

はやぶさの7年

TIMELINE
  1. 打ち上げ

    内之浦宇宙空間観測所(当時は鹿児島宇宙空間観測所)から、M-Vロケット5号機で打ち上げられました。目的は、将来のサンプルリターンに必要な4つの技術、イオンエンジンによる航行、自律航法、微小重力下での試料採取、カプセルによる回収の実証です。

  2. 地球スウィングバイ

    打ち上げから1年間、イオンエンジンで加速しながら地球の近くを回り、東太平洋の上空約3,700kmを通過して、地球の重力でさらに加速しました。

  3. イトカワに到着

    地球から約3億km離れた場所で、長さ約540mの小惑星イトカワから20kmの地点に着きました。約2か月半、形や表面の様子、鉱物を調べています。

  4. 2回の着陸

    イトカワに着陸して表面の試料採取を試みました。弾丸を撃ち込む仕組みは作動しなかったとみられますが、着地の際に舞い上がった微粒子が容器に入りました。

  5. 燃料漏れと通信途絶

    着陸後に化学エンジンの燃料が漏れ、このエンジンは使えなくなりました。12月8日、漏れたガスの影響で姿勢が乱れ、地球との通信が途絶えました。

  6. 帰還を3年延期

    当初は2007年に地球へ戻る予定でしたが、2010年6月の帰還をめざす計画に変わりました。

  7. 通信が戻る

    ビーコン信号を受信し、少しずつ姿勢を立て直して、3月6日には3か月ぶりに位置を決定しました。キセノンガスを噴射して姿勢を保つ工夫も行われました。

  8. 地球への帰還巡航を開始

    イトカワ付近を離れ、イオンエンジンでの本格的な帰還運転に入りました。

  9. イオンエンジンが停止

    運転中のイオンエンジン1台が、部品の劣化で自動停止しました。ほかのエンジンも単独では正常に動かない状態でした。

  10. 2台を組み合わせて再開

    エンジンAの中和器とエンジンBのイオン源を組み合わせ、2台で1台分として運転する方法で、帰還運転を再開しました。

  11. 地球に帰還

    カプセルを分離したあと、はやぶさ本体とカプセルは大気圏に突入しました。本体は燃え尽き、カプセルはオーストラリアのウーメラ砂漠に着地しました。

  12. イトカワの微粒子と確認

    カプセルの中の微粒子の大半が、イトカワのものと確認されました。小惑星から試料を持ち帰ったのは世界で初めてです。

どうやって帰ってきたのか

RECOVERY
01

通信途絶からの復旧

姿勢を失って通信が途絶えたあとも、地上から探査機の電波を探し続け、約1か月半後にビーコン信号を受信しました。帰還を3年延ばし、時間をかけて立て直しました。

02

化学エンジンなしでの姿勢制御

燃料漏れで化学エンジンを失い、姿勢を保つ装置(リアクションホイール)も3台のうち2台が故障しました。イオンエンジン用のキセノンガスを噴射して、姿勢を保ちました。

03

壊れたエンジンを組み合わせる

帰還まで残り半年の2009年11月、使えるエンジンがなくなりかけました。2台のエンジンの、まだ使える部分どうしを組み合わせて推力を得て、2010年6月の帰還に間に合わせました。

2014年には後継機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへ向かい、2020年に試料を持ち帰りました。2026年10月には火星衛星探査機MMXが出発しています。H3ロケット10号機とMMXの航路、火星探査機「のぞみ」の旅路もあわせてご覧ください。

諸元

SPECIFICATIONS
名称
はやぶさ 開発名 MUSES-C
打ち上げ
2003年5月9日 13時29分(日本時間) 鹿児島宇宙空間観測所(現・内之浦宇宙空間観測所)、M-Vロケット5号機
質量
約510kg 太陽電池パドルを含めた幅は約6m
主エンジン
マイクロ波放電式イオンエンジン 4台 往復で合計約4万時間運転し、秒速約2.2km加速
総飛行距離
約60億km

出典

SOURCES

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