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AKATSUKI (PLANET-C)

金星探査機「あかつき」の旅路

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2010年12月、「あかつき」は主エンジンの故障で金星の周回軌道に入れず、金星を通り過ぎました。それから5年。太陽のまわりを約9周して金星に追いつき、本来は姿勢を変えるための小さなエンジンだけで、2015年12月7日に金星の周回軌道に入りました。日本で初めて、地球以外の惑星を回る探査機になりました。

打ち上げ 2010-05-21 06:58 JST ロケット H-IIA 17号機 質量 約520 kg

5年かけて金星に追いつく

ORBIT

赤い線があかつきの航路です。「金星と一緒に回る視点」に切り替えると、金星を右に止めて見た動きになります。太陽を回る周期が金星(225日)より短い約200日だったため、あかつきは金星から少しずつ先へ進み、太陽のまわりを約9周するあいだに金星のまわりをぐるりと一周して、金星のもとへ戻ってきました。

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あかつきの航路金星・地球の軌道
位置は計算による再現(公表値に合わせて計算)
計算の確かめ: 投入に失敗したあとの軌道は、公表された「周期203日、近日点 約0.6AU(太陽から約9,000万km)」から求めました。この軌道では近日点を2011年11月10日に通り、JAXAが噴射した3日(11月1日・10日・21日)のちょうど真ん中になります。そこで公表どおり合計243.8m/sの減速を加えると、2015年12月7日に金星の位置に届きました。金星から最も遠く離れた日は計算で2013年9月30日(約2億1,500万km)、公表は2013年10月3日です。

金星をまわる軌道

VENUS ORBIT

金星を中心にした図です。当初の計画は、金星のすぐ近くを30時間で回る軌道でした。小さなエンジンで入った実際の軌道は、地球から月までの距離(約38万km)を超える細長い楕円になり、1周に13日以上かかりました。

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選んだ軌道地球から月までの距離(比較)
軌道の向きは概略 · 大きさは公表値
当初の30時間の軌道は、遠い側で金星の雲とほぼ同じ速さで動き、同じ雲を約20時間見続けられるように選ばれていました。細長い軌道では同じ雲を追い続けることはできませんが、遠くから金星全体を見渡す観測を続けました。雲の動きはあかつきから見た金星で再現しています。

あかつきの旅

TIMELINE
  1. 打ち上げ

    種子島宇宙センターから、H-IIAロケット17号機で打ち上げられました。

  2. 金星周回軌道への投入に失敗

    主エンジンを12分間噴射する予定でしたが、3分足らずで止まり、金星を通り過ぎました。燃料を押し出すヘリウムの配管の弁が塩の結晶で詰まり、燃焼が異常になってエンジンの噴き出し口が壊れたと考えられています。

  3. 主エンジンの試験噴射

    推力は予定の約1割しか出ず、主エンジンは使えないと判断しました。使わない酸化剤約65kgを捨てて、機体を軽くしました。

  4. 小さなエンジンで軌道を変える

    姿勢制御用のエンジン(推力23N)4基で3回噴射し、合計243.8m/s減速して、2015年12月に金星と再会する軌道に乗せました。

  5. 金星周回軌道に投入

    姿勢制御用のエンジンを約20分噴射し、金星を回る軌道(高度約400km〜約44万km、周期13日14時間)に入りました。日本初の惑星周回機です。

  6. 巨大な弓形の模様を見つける

    投入直後の観測で、雲の上に南北約1万kmの弓形の模様を見つけました。雲が流れても位置が変わらない、地形が生んだ大気の波でした。

  7. 軌道を小さくする

    遠い点を約37万kmに下げ、周期を約10日にしました。5月から定常観測を始めました。

  8. 赤外線カメラ2台が使えなくなる

    1μm・2μmカメラの電子回路が故障しました。残りのカメラで観測を続けました。

  9. スーパーローテーションの仕組みを解明

    昼に温められ夜に冷える「熱潮汐波」が、雲を自転の約60倍の速さで回し続けていることを突き止めました。

  10. 通信が途絶える

    姿勢を保つ精度が下がった状態が続き、通信できなくなりました。

  11. 運用終了

    復旧の見込みがなく、設計上の寿命も大きく超えていたため、運用を終えました。金星の大気を8年以上観測し続けました。

あかつきが実現したこと

ACHIEVEMENTS
01

5年後の再挑戦

主エンジンを失っても、姿勢制御用の小さなエンジンで軌道を変え、5年後に金星の周回軌道に入りました。日本初の惑星周回機になりました。

02

太陽系最大の山岳波

地表の山が生んだ大気の波が雲の上まで届き、南北約1万kmの動かない弓形の模様を作っていることを見つけました。

03

惑星の気象衛星

紫外線と赤外線のカメラで雲の動きと温度を測り、スーパーローテーションの仕組みを解明しました。地球の天気予報の手法(データ同化)も、金星で初めて使いました。

雲と地表の速さの違いと、動かない弓形の模様はあかつきから見た金星で再現しています。金星のそばを2回通って水星へ向かった日欧の探査機の旅は、水星磁気圏探査機「みお」の旅路で紹介しています。同じロケットで打ち上げられ、帆を広げて金星のそばを通ったソーラー電力セイル「IKAROS」の旅路もあわせてご覧ください。

諸元

SPECIFICATIONS
名称
金星探査機「あかつき」 PLANET-C、Venus Climate Orbiter
打ち上げ
2010年5月21日 6時58分(日本時間) 種子島宇宙センター、H-IIAロケット17号機
質量
約518kg 燃料を含む
エンジン
主エンジン 500N(2010年に故障) 姿勢制御用エンジン 23N × 4基で軌道投入
観測機器
カメラ5台と電波の装置 紫外線(UVI)、中間赤外(LIR)、1μm(IR1)、2μm(IR2)、雷・大気光(LAC)、超高安定発振器(USO)
金星を回る軌道
高度約1,000km〜約36万km 周期 約11日(運用終了時の公表値)

出典

SOURCES

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