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LUPEX / PLANNED MISSION計画中

月極域探査機「LUPEX」の計画

LUPEX(ルペックス)は、日本のJAXAとインドのISROが共同で進めている月探査の計画です。インドが作る着陸機で月の南極の近くに降り、日本が作るローバー(探査車)が走り回って、地面を深さ約1.5mまで掘り、水がどれだけ、どのように含まれているかをその場で測ります。将来、月で水を使えるかどうかを確かめるための、世界で初めての本格的な調査です。まだ打ち上げ前なので、この記事では計画と、月の地形データから計算した南極の地図を紹介します。

打ち上げ 2028年度以降(予定) ロケット H3 分担 日本: ローバー・打ち上げ / インド: 着陸機 掘る深さ 約1.5 m

月の南極を上から見る

SOUTH POLE MAP

南緯80度より南(半径約300km)を真上から見た地図です。上が経度0度、つまり地球のある方向です。月の自転軸はほとんど傾いていないので、南極では太陽がいつも地平線すれすれを回ります。「日の当たり方」で再生すると、月の1日(約29.5日)の間に影がぐるりと回るようすが見られます。地図をなぞると、その場所の値が右に出ます。

約1.3万km²南緯80度より南の永久影の広さ(この地図の計算)。四国の約7割
1.5度月の自転軸の傾き(地球は23.4度)。だから極の太陽は低いまま
約2割南緯85度より南で、地球が一度も地平線の上に出ない場所の割合(計算)

なぜ南極なのか

WHY THE POLE
01

日が当たらない「永久影」

太陽がいつも低いので、深いクレーターの底には何十億年も日が差さない場所があります。とても冷たく、彗星や小惑星が運んできた水が、氷のまま残っているかもしれません。地図の「永久影」で青くなっている場所です。

02

ほとんどいつも日が当たる尾根

反対に、高い尾根や山の上は、月の1日のほとんどの間、日が当たります。計算では、シャクルトン・クレーターのふちの近くの尾根(南緯89.4度)は、ほぼ一日中日が当たりました。太陽電池で電気を作り続けられる場所の近くに、氷のある影がある。これが南極の魅力です。

03

地球が見えるかどうか

地球との通信には、地球が地平線の上に見えている必要があります。南極では地球も低いので、地球側(図の上)を向いた斜面や山の上でないと見えません。計算では、マラパート山の一帯(南緯86度、高さ約5km)に、日が約8割の時間当たり、地球も約8割の時間見える場所がありました。

月の水の手がかり

WATER
  1. 月の表面に水の手がかり

    インドの月探査機チャンドラヤーン1号に載ったNASAの観測装置が、月の表面の広い範囲で、水や水酸基のしるしを見つけました。

  2. 永久影にぶつけて、水を確かめる

    NASAのLCROSSは、南極の近くのカベウス・クレーターの永久影にロケットの上段をぶつけ、舞い上がったちりの中に水があることを確かめました。

  3. 永久影の温度と広がり

    NASAの月周回衛星LROが、永久影の中がとても冷たいことや、その広がりを詳しく調べました。この記事の地図も、LROのレーザー高度計(LOLA)の地形データから作りました。

  4. LUPEXが掘って測る

    どの深さに、どれだけ、どんな形で水があるのかは、実際に掘って測らないとわかりません。LUPEXは、水の量を直接測り、深さによる違いを調べる世界で初めての計画です。

日本とインドの分担

PLAN

打ち上げとローバーは日本、着陸機はインドが担当し、アメリカのNASAとヨーロッパのESAも観測装置を出します。ローバーは着陸した後、少なくとも3か月半にわたって活動する計画です。

担当受け持つもの
JAXA(日本)H3ロケットでの打ち上げ、ローバー、水を調べる装置 REIWA(LTGA・TRITON・ADORE)、近赤外の撮影装置 ALIS
ISRO(インド)着陸機、試料の分析装置 ISAP、地中レーダー GPR、中赤外の撮影装置 MIR、地面の性質を測る PRATHIMA
NASA(アメリカ)中性子の測定装置 NS(地面の下の水素を探す)
ESA(ヨーロッパ)表面のガスを測る装置 EMS-L
  1. 実施の取り決めを交わす

    首相官邸で、基本設計から先の進め方を決めた取り決めの署名に向けた文書を交わしました。

  2. 打ち上げを2028年度へ

    JAXAは、インドとの取り決めに合わせて、打ち上げの年度を2026年度から2028年度に変える案を出しました。

  3. 基本設計

    JAXAとISROが共同で基本設計を進めています。インドの技術者が種子島宇宙センターを訪れ、打ち上げの準備について話し合ったとも伝えられています。

  4. H3ロケットで打ち上げ

    まず地球を回る細長い軌道に入り、そこから月へ向かいます。着陸地点と航路はまだ発表されていません。

日本はSLIMで、ねらった場所の100m以内に降りる技術を確かめました。南極の地図の作り方は、かぐやの記事の月の極の図と同じです。

この記事の計算

METHOD
地形
NASAのLOLAの全球地形データ(LDEM_16、1度あたり16点、約1.9km間隔)を、南極を中心とした地図(1.5km間隔、404×404点)に描き直しました。 細かい地形は表せないので、小さな影は見落とし、永久影は実際より少なめに出ます
地平線
1km間隔の格子で、各点から72方向に300kmまでの地形の高さを調べ、月の丸みも入れて、方向ごとの地平線の高さを求めました。
日の当たり方
太陽の中心が地平線より上にあれば「日が当たる」としました。再生は、太陽が月の赤道の真上にある時期(48方向、7.5度ごと)です。 太陽の円盤の大きさ(約0.5度)と、まわりの地面からの照り返しは入れていない
永久影
太陽が月の赤道から南北に1.54度ずれる範囲(月の自転軸の傾き)を7段階、方向を5度ごとに動かして、一度も日が当たらない場所としました。 南緯80度より南で約1.34万km²
地球の見え方
地球の方向は、月の首ふり(秤動)で経度±7.9度・緯度±6.7度の範囲を動くとして、9×9の向きのうち地平線の上に出ている割合です。

諸元(計画)

SPECIFICATIONS
名称
月極域探査機 LUPEX(Lunar Polar Exploration) インドでは「チャンドラヤーン5号」とも呼ばれる
開発
JAXA、ISRO(インド宇宙研究機関) NASA・ESAが観測装置を提供
打ち上げ
2028年度以降(予定) H3ロケット、地球を回る細長い軌道へ投入
打ち上げ時の質量
約6.5t以上 観測装置などの搭載質量 350kg以上
着陸地点
月の南極の近く 具体的な場所は未発表
掘る深さ
約1.5m
活動期間
着陸から3か月半以上

出典

SOURCES

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