スピリットから見た宇宙
2003年6月10日に打ち上げられたNASAの火星ローバー、スピリット(Mars Exploration Rover A)の位置に立って、星空を見渡します。ロケットから離れた直後に振り返る地球から、7か月後、巡航段を切り離す直前に目の前に大きく広がる昼の火星まで。航路は、JPLが追跡データから再構成して公開しているものです。
いま見えている天体
FROM SPIRIT| 天体 | 方向(星座) | 距離 | 見かけの大きさ | 明るさ |
|---|
天体名を押すと、その方向に視線を向けます。明るさは等級(小さいほど明るい)の目安です。
この再現について
METHOD航路はすべてJPLの再構成
JPL Horizonsの「Spirit」(-254)には、3段目のロケットから離れた直後(2003年6月10日 18時31分)から着陸までの、追跡データにもとづく再構成軌道が入っています。この星空はそれをそのまま使い、計算で補った区間はありません。地球のそばの最初の6日間は1時間ごと、火星のそばの最後の3日間は20分ごと、最後の40分は1分ごとの値です。
計算の確かめ
航路の長さを足し合わせると約4億8700万km(NASAの打ち上げ前の資料は「約5億km」)。着陸の日の地球と火星の距離は約1億7050万kmで、電波は片道9分29秒かかります。Horizonsの着陸時刻 4時25分32秒(探査機の時刻)に足すと4時35分で、JPLが発表した「着陸の信号を地球で受けた時刻 4時35分(世界時)」と合います。
4回の軌道修正
打ち上げから7か月のあいだに、軌道修正(TCM)を4回行いました。いちばん大きい6月20日のTCM-1で秒速16.5m、最後の12月27日のTCM-4は秒速2.5cm。予定していた5回目と6回目は、狙いが十分に合っていたので行いませんでした。
火星の衛星フォボスとダイモス
火星のそばの最後の3日間だけ、JPL Horizonsの位置と速さから火星を回る軌道を計算して表示しています(フォボスは6時間ごとの値をつないでいます)。形は実際の形状モデルで、いつも同じ面を火星に向けて回ります。いちばん近づいたのは星空の終わりの約2分前で、フォボスから約1万500km。
昼の側から飛び込んだ
最後に目の前に広がる火星(見かけの大きさ約70°)は明るく照らされています。スピリットは太陽のほうから火星に近づき、着陸地点(グセフ・クレーター)の時刻で午後2時ごろに着陸しました。夜の午前3時前に着いたマーズ・パスファインダーとは反対です。
星と惑星
7等星までの恒星と88星座の線を使っています。恒星はとても遠いので、探査機から見ても星座の形と位置は地球から見た夜空と同じです。太陽・惑星・月の位置は天文計算ライブラリで日ごとに求め、地球・月・火星は大きく見えるときに表面の画像で描きます。
星空は巡航段の分離まで
この星空は、巡航段を切り離す予定の時刻(着陸の約21分前、火星の上空約2,500km)で終わります。そこから先は熱シールドと背面カバーに包まれて外は見えず、約15分後に大気へ突入します。突入から着地までの約6分間の高さと速さは、旅路のページで見られます。
進行方向の2つの基準
視線の「進行方向」は、探査機が進んでいく向きにカメラを向け続ける視点です。太陽基準は、太陽から見た探査機の動きの向きで、太陽のまわりを回る軌道そのものの向きです。火星基準は、火星から見た探査機の動きの向きです。スピリットは火星を回る軌道に入らず、そのまま大気に飛び込んだので、最後は火星基準の十字が火星の円盤の中に入ります。
出典
SOURCES- JPL Horizons(NASA/JPL)「Spirit (Mars Exploration Rover)」(-254、再構成軌道 mer2_cruise・mer2_edl_rcb_v1)、フォボス・ダイモスの位置と速さ
- NASA/JPL DESCANSO「Mars Exploration Rover Navigation」軌道修正の日時と速度変化、打ち上げ時刻
- JPL「NASA's Spirit Rises on its Way to Mars」(2003年6月10日)打ち上げ・分離の時刻
- NASA/JPL「Mars Exploration Rover Launches」プレスキット(2003年6月)飛行距離、着陸の現地時刻
- JPL「Mars Exploration Rover Spirit Mission Status」(2004年1月4日)着陸の信号を受けた時刻
- ESA Mars Express SPICE(形状モデル)フォボス(DLR)とダイモス(P. Thomas)の形。5,120面に作り直して使用
- NASA Blue Marble ・ NASA 3D Resources ・ NASA SVS CGI Moon Kit大きく見えるときの地球・火星・月の表面の画像。地球の雲は、このページ用に作ったもの(観測画像ではありません)
- d3-celestial恒星・星座線のデータ
- Astronomy Engine太陽・惑星・月の位置計算