インダクタンスLAB
コイルは、流れる電流が変わることに逆らう部品です。値を動かしながら、何が起きるかを確かめます。
L = μ₀ μᵣ N² A / l
L は、コイルの形と芯で決まる
電流が流れるとコイルの中に磁束ができます。その磁束がコイルを貫く量は電流に比例し、比例定数が自己インダクタンス L です。単位はヘンリー(H)で、1 H は「電流が 1 秒に 1 A 変化したとき 1 V を生む大きさ」です。
N² に比例するので、巻数を 2 倍にすると L は 4 倍です。式は長いコイル(l が d より十分長い)の近似で、短く太いコイルでは実際の L はこれより小さくなります。また芯ありの値は、磁束の通り道がすべて芯でできている(閉じた磁路の)場合の上限です。図のような棒状の芯では磁束がコイルの外の空気も通るため、実際の L は μᵣ 倍よりずっと小さくしか増えません。
v = L di/dt τ = L / R
電流はすぐには立ち上がらない
電池に抵抗 R とコイル L を直列につないでスイッチを入れると、電流は 0 から少しずつ増えます。増えようとする電流をコイルが押し返すためです。立ち上がりの速さは時定数 τ = L/R で決まり、τ 経つと最終値の 63.2% に届きます。
W = ½ L I² V = L · I / Δt
電流を急に切ると、高い電圧が出る
コイルは電流が流れている間、½LI² のエネルギーを磁界にためています。スイッチで電流を短時間で 0 にすると、v = L di/dt の di/dt が大きくなり、コイルの両端に高い電圧が出ます。リレーやモーターの駆動回路にフライバックダイオードを付けるのは、この電圧を逃がすためです。
電流が一定の割合で 0 になると仮定した理想式の値です。実際には配線の浮遊容量や、スイッチ接点の放電(火花)で電圧は頭打ちになります。
XL = 2πfL
周波数が上がるほど、電流を通しにくくなる
交流では電流が絶えず変わるので、コイルは常に押し返します。その強さがリアクタンス XL で、周波数 f と L に比例します。直流(f = 0)では 0 Ω、つまり単なる導線として振る舞います。このとき電流の位相は電圧より 90° 遅れます。
両対数グラフでは XL は右上がりの直線になります。L を 10 倍にすると、線は縦方向に 1 桁(横線の間隔の半分)上に動きます。
数値は理想的なコイルと抵抗を仮定した計算値です。実際の部品には巻線抵抗や浮遊容量があります。